淡雪のバリスタ

コーヒーが苦手なITエンジニアがバリスタになるまで

こんにちは、バリスタの五十川(イソカワ)です。 日々淡雪に来てくださるお客様に最高のひとときを楽しんでいただくために、1杯1杯心を込めてコーヒーをお淹れしています。

店頭ではお客様の好みに合うコーヒーのご提案をしたり、コーヒーの詳細をご案内することも多いのですが、短い時間ではなかなかコーヒーの魅力を十分に伝えきれません。そこでこのブログを通して、スペシャルティコーヒーの魅力やバリスタとして日々考えていることをお伝えできればと思います。

まず初回はバリスタの私について自己紹介させていただきますね。

コーヒーとの出会い

名前は五十川洋平(いそかわようへい)。新潟県糸魚川市で産声を上げ、この記事を書いている2025年時点で40歳になります。

実はコーヒーにハマりだしたのはここ数年の出来事なのです。20代まではコーヒーは苦くて美味しくないもの。飲めば必ず胃が痛くなる飲み物として敬遠する存在でした。コーヒーを自分で買うことなんてあり得ない。いただき物のインスタントコーヒーや缶コーヒーを飲んでも美味しくないし、とにかくミルクが入っていないとだめ。たまに商談の場で出してもらえるコーヒーも残すのは失礼だと思い、我慢して飲むことなんてことも日常でした。

そんな中、時は2012年。20代半ばごろ、私は東京でWebサイトを作るエンジニア(プログラマー)として仕事漬けの毎日を過ごしていました。そして同じく当時エンジニアだった妻と出会い、付き合い始めることをきっかけに徐々に自分のコーヒー感が変化していきます。妻は学生の頃から東京都内のカフェ巡りが趣味だったこともあって、よく一緒にカフェに行くようになったのです。やはり東京は美味しいコーヒーを出すカフェが多かったんですね。不思議とカフェラテが飲めるようになり、そして次第にブラックコーヒーも飲めるようになっていきました。

そんなある日、コンビニやスタバも良いけど、家でもコーヒーが飲みたいなぁと思い始めた頃、たまたま入った吉祥寺のヨドバシカメラで売られていたデロンギの家庭用エスプレッソマシンが目に止まりました。あ、これを家で使うのも良いかも、と衝動買い。そこから自分でコーヒーを淹れる人生がスタートしたのです。当時はカフェポッド(あらかじめコーヒー粉がパックに詰められたもの)をマシンにセットして、ボタンを押すだけの手軽なコーヒーを淹れていました。正直美味しいかどうかはわからないけど、家でコーヒーを淹れる。その雰囲気を楽しむだけで良かったんですね。

何かをやりだすとすぐに凝り始める私は、独学じゃイマイチ正解がわからないということで、スタバのコーヒーセミナーに何度も足を運びました。

何がなんだかわからない初期のラテアート
何がなんだかわからない、当時のラテアート

そして2015年。結婚を機に新潟に帰ることになります。そもそも田舎で就職することは考えていなかったので、フリーランスのエンジニアとして在宅で仕事を始めました。その仕事の息抜きにコーヒーを淹れて飲めば最高じゃん!と、グラインダーやドリップコーヒーの器具を揃え始めます。そうです、こうして東京ではなく新潟に帰ってからコーヒーにハマり始めたのです。

この頃に、世間で火が付き始めていたスペシャルティコーヒーの存在を知って丸山珈琲などの専門店に行くようになります。今まで飲んでいたコーヒーよりも格段に香りが良く、甘くフルーティなコーヒーとの出会いは忘れもしません。これが本当にコーヒーなのか!?と、その味わいに衝撃を受けたのです。

それからはもう止められません。気がつけば月々のコーヒー代が1万円を超えるようになっていき、書籍を読み漁り、いつの間にか自称コーヒーフリークになっていました。

バリスタとしてのキャリア

そうこうして新潟に帰ってきて4年が経つ頃、そろそろ家を建てたいねと夫婦で話すことが多くなりました。その時、どこか暮らしに刺激がないことを感じていた二人は、東京時代のことを思い出しながら、家でカフェできそうじゃない?とアイデアが思いつきます。自分たちの納得のいく家を建てて、ついでにその一角でカフェもやってしまおう。やりたいことをすべて詰め込んだ欲の塊のような案をひらめいたのです。そもそも二人にとって「地域に行きたいカフェがない」というのが大きな悩みでした。ならば自分たちで作ってしまおう。周りのお店の方に話を聞いても実現できそうだ。ということで、カフェを始める話が具体的に持ち上がったのです。

ただ、それまでの人生で飲食店経験が全く無いわけですから、何をするにもとにかく不安です。おまけにコーヒーについてはコーヒーフリークぶってはいたけど、結局独学ですのでいい加減なサービスでお客様からお金をいただくわけにはいかない。そこで当時、コーヒー豆を扱うならぜひ仕入れたいと思っていたナカムラコーヒーロースターsさんに声をかけて、コーヒー豆の仕入れの許可とエスプレッソマシンのトレーニングを行っていただいたのでした。

そして新型コロナウイルスが蔓延する中、何もかもが手探りながらもDIYで内装や備品を作り、営業に必要なものをすべて揃えて、2021年9月に晴れてお店が完成。期待と不安を胸に営業を開始したのでした。それからこの記事を書いている2025年9月まで丸4年、バリスタとしてはまだまだ未熟者ですが、お客様に支えていただきながらお店に立ち続けられています。現在も通っていただいているお客様には本当に感謝です。

今後はさらにクオリティを高め、これまで体験したことのない新たなコーヒーの魅力を伝えるとともに、日常に溶け込むようなリラックスできる空間を提供していきたいと思います。コーヒーの魅力についてはまた改めてご紹介させていただきますね。